3

ファイナンシャルプランナー波柴純子さんが聴く〜シングルマザーの仕事と子育て〜北欧旅コーディネーター戸沼さん【後編】

仕事は自分のライフスタイルに合わせて、 楽しいを創り上げる

娘さんお二人とも留学されていたということなのですが、元々、戸沼さん自身の視点がグローバルだったのですか?
旅行代理店にいて常に海外にでることをやってきたので、もしかしたらそうかもしれないです。
現在はフリーランスでお家でできる仕事というのは、どういうジャンルをやられているのですか?
お料理を教えていたり、英語を教えたりしています。
ワークライフバランスというか、ひと繋がりな感覚で、オンオフの境のないお仕事ですね。
それもステキですね。働き詰めで疲れているシングルマザーにとっては、そういう職業選びの選択肢も、もしかしたら子育てをうまく絡められるかも。
境もないけれど、その代わりやりたいだけ仕事ができて、休みたいだけ休めるっていう方がわたしには向いていて、ある程度定期的に固定給で入ってくる方が精神的に落ち着いたり、色んなことが安定してできるって方にとっては、勤めながらというのは気持ちが切り替わるので、それはそれで良いなって。
人それぞれだとは思うんですけど、いかに仕事を自分の生活スタイルに合わせて、 自分の楽しいこと、子どもの楽しいことを創り上げていくかだと思うから、仕事は何でも良いと思うんですよ。
良い意味で仕事と生活が一緒になっていますね。

多世代が一緒に住むコレクティブハウス

戸沼さんがお仕事にされている北欧のライフスタイルに関して、デンマークのコレクティングハウスに関心があるのですがどのようなものなんですか?
デンマークでは、シニアハウスの考え方として今最も進んでいる形が、コレクティブハウスといって、様々な世代の方々のお家が集合的に集まっている1つのコミュニティー。
日本でいう団地というか、お家はそれぞれ別々にあるんだけれど、共用スペースがあって、毎日夕飯を食べましょうなど。
例えばその場合、自分が担当で夕飯を作るのは、週1回でいい。週1回はみんなの分も作るけど、毎日作らなくていいじゃないっていう。
特にシングルマザーが、お仕事もして家事もして子育てもしてっていうところの1つの部分を共有することによって、楽になったり、お年寄りたちもコレクティブハウスに住むことによって、若い子だったり、子どもたちと触れる機会もあったりとか。
世代を超えた多様性があることで、とても住みやすく生きやすくなる仕組みが出来ているんです。
確かに。ペアレンティングホームも既に何カ所かあるんですけど、子どもの年齢がバラバラの子が一緒に育ったり、親の方針もそれぞれ違うけど一緒に住むことによって、お互いの違いを受け入れ合ったり。そういうのは子どもにとっても大切。
もう少し文化的なことが成熟しないと、どうしても日本のシェアハウスっていうのは、大体世代が同じだったり、割と似た環境の人たちで、部屋をシェアすることが多いですよね。
テーマ型とか多いですもんね。
ちょっとしたマンションの一角をシェアハウスにして、シングルマザーやお年寄りがそこに住めるかといったら、もうちょっとプライベートな空間が欲しいわけで、自分が住みたいかというとそこまでにはやはりまだいっていない感じがしていて。
また、共同して助け合うっていうベースの週1回ご飯を作るという、ただそれだけのことでもルール決めなど一悶着あると思うんです。
その辺デンマークでは、ひとつの場所を共同体で作り上げるという歴史がとてもあって、自分たちの生活の一環として、コミュニティーのことを進んでやるという習慣ができている。従って、コレクティブハウスが成立する。
その辺をもっとみていきたいです。どういうメンタリティーでベースが成立するのか、仕組みだけ作っても違うと思うので。
わたしも個人的にFPというお仕事をしていて、これだけ少子高齢化の中で、将来のお金の運用の話などをしますが、運用だけしても、必ず老後は安定しないし、やはりお金ではなくコミュニティーなんです。しかしコミュニティーを日本人でこれから作ろうとすると、今までそんな習慣がなかったのでそこをどう創り上げていくのか、北欧の福祉制度が素晴らしいなどいっているけれど、制度だけもってくるのではなく、文化でも得られることって沢山ある。
そうだと思います。どのようなベースの考え方が育って、こうなったんだろうというところが、私の研究テーマのひとつです。

北欧の離婚に不利益はない

北欧では、どこが離婚率高いですか?
北欧全体高いですね。 フィンランドが50%くらいで、非常に高い。 でも離婚しても全然しあわせ。全く不利がないんです。
日本だと、シングルマザー=可哀想、貧困などそんなイメージがありますけど。
スウェーデンにいたっては、離婚した方が得。
得というのは、シングルで子どもを育てていると様々な恩恵があります。
福祉的にもそうですが、学校や教育にかかるものが非常に割引だったり。
だからといって離婚してしまうんですか?
制度を使いたいがために離婚する人もいます。
本当に色々問題があって離婚した人もいますが、例えば、妻が少しハンディーで働きにくい状態なので、離婚して、妻が子どもを育てるということで様々な恩恵を受けていたり。
実際は、夫ととても近くに住んでいて愛情もあるので、家族として成立している。
それはどうなんだろうとは思います。
例えば、日本だと離婚して貧困の連鎖で親が経済的に不安定だと、子どもにちゃんとした教育を受けさせられないような連鎖はありますか?
全くないです!
離婚したい人にとって、北欧で離婚することは全く不利益がない。
ちゃんとした生活ができます。
やり直してまた新しいパートナーを作ったり、同性婚をしたり。
多様な結婚の仕方があるんです。子どもいるけど籍が入っていないカップルも沢山いるんですね。
お父さん2人いて、お母さんいない家庭とかもあるのですか?
そういう家庭もあります。 多様なところを受け入れる感覚がやはりあるので。
なんかそういうの羨ましいなって思う反面、日本で全然できないかというと、さっきみたいな工夫をして、お金がなくても教育は十分なものを与えていくこともできるし、視野を広げれば可能性は広がりますね。
そうですね。お母さんの視野を広げることって大事ですよね。
お金を理由にしないで、どんどん情報を得られると日本のシングルマザーはもっともっと元気になる。

この記事が気に入ったら、「いいね!」しましょう。
あなたのfacebookに更新情報をお知らせします。

  • 目次
  • メンバー

目次

この対談のメンバー

  • 波柴 純子さん

    子供が3歳の時にシングルマザーとなり、お金の不安がきっかけでファイナンシャル・プランニングに関心を持つ。
    それまで苦手だったお金・制度の知識を学ぶとことで日々の暮らしが安心に変わるのを感じ、これを他の人にも伝えたい、と転職を決意。

    金融機関のファイナンシャル・アドバイザーとして約7年の経験を積む中で、子育て世代の多くが抱える未来への漠然とした不安をなくすには、お金のリテラシーを持つことと同時に、自分の価値観を明確にすることが必要だと確信するようになる。

    2013年に独立し「私が未来をデザインする」という想いを込め、Cras-i design(クラシデザイン)と名付ける。
    シングルマザーや起業家など、本気で自立したい女性にを対象に、個別相談・講演・執筆活動を行っている。
    プライベートでは2015年に再婚、第2子を出産。

  • 戸沼 如恵さん

    1966年2月8日 埼玉県生まれ。
    立教女学院短期大学卒業後、JTB勤務や秘書などの仕事を通して語学力と旅のコーディネート力を磨く。

    その後は2人の娘を育てながら自分のビジネスを持ち、自然農法の実習経験や家庭体験教育の認定講師の資格を持つ。

    2010年4月、長女のデンマーク留学をきっかけに「北欧スタイルのエコでオシャレな旅づくりをしたい」という思いでエコ・コンシャス・ジャパンを設立。
    ツアーコーディネーターとして活動している。

    エコ・コンシャス・ジャパン代表